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大丸松坂屋、35年ぶりに包材デザイン刷新。新シンボル「百様図」で多様性表現

Ernest

 株式会社大丸松坂屋百貨店は30日から、全国15店舗でショッピングバッグと包装紙のデザインを一新する。大丸は35年ぶり、松坂屋は23年ぶりの刷新となる。17日に東京都内で開催された記者発表会で、同社の宗森耕二社長は「多様な価値観が認め合い、重なり合う豊かさをテーマに新たなビジュアルアイデンティティを策定した」と述べた。

(左から)寺井孝夫氏、宗森耕二氏、三沢遥氏 左が大丸、右が松坂屋のデザインだ
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新シンボル「百様図」に込められた企業理念

 新たなシンボル「百様図(ひゃくようず)」は、日本デザインセンター三澤デザイン研究室主宰の三澤遥氏がデザインを手がけた。百様図は、丸と四角の形、緑と青(ピーコックグリーンとロイヤルブルー)の色を幾重にも重ねたデザインとなっている。

大丸のデザイン
松坂屋のデザイン

 同社ブランディング戦略室長の寺井孝夫氏は「我々は本店がない百貨店として、15の地域に非常に土着的で様々な個性を持った店舗がある」と説明。各店舗がそれぞれの土地の文化やコミュニティと深く結びつき、多様な文化の担い手となっていることを強調した。

大丸松坂屋百貨店ブランディング戦略室長の寺井孝夫氏

 同社では、店舗の「歴史への眼差し」「土地への眼差し」「移ろいへの眼差し」「気持ちへの眼差し」という4つの価値観を大切にしており、これらが顧客一人ひとりの価値観と重なりあう様を「百様」と名付けた。

400年以上の歴史を融合

 大丸は1717年に京都で呉服屋として、松坂屋は1611年に名古屋で同じく呉服屋として創業した。2010年に「大丸松坂屋百貨店」が誕生し、今年で設立15周年を迎える。

 デザインを担当した三澤氏は武蔵野美術大学卒業後、デザインオフィスnendoを経て、2009年より日本デザインセンター原デザイン研究所に所属。2014年より三澤デザイン研究室として活動を開始し、毎日デザイン賞、第25回亀倉雄策賞を受賞している。

デザイナーの三澤遥氏

 三澤氏は「大丸の孔雀のマークから丸の形とピーコックグリーン、松坂屋のシンボルマークから四角の形とロイヤルブルーを抽出した」と説明。紙に丸や四角の穴を開け、それらを組み合わせることで無数の模様を生み出すプロセスを経て、最終的なデザインに到達したという。

 「紙という誰もが知っている素材で、ありきたりなものの組み合わせでどういうことができるかを探った。特別な人が特別なことをしているわけではなく、誰もが紙に穴を開ければできるような遊びの中から百様図を生み出した」と三澤氏は制作過程を振り返った。

 コピーライターの長瀬香子氏は、15店舗それぞれの地域性を表現した手紙も制作したと発表。例えば札幌店では「この町では運動会は春にやります。節分には落花生を投げ、雪虫で秋の到来を知ります」、上野店では「江戸の心意気が残り、武士が住み、やがて商人が集まった町」といった具合に、各地域の文化や特色を織り込んだ内容となっている。

コピーライターの長瀬香子氏

環境配慮と今後の展望

 新しい包材には環境に配慮した素材を使用し、森林の伐採削減や温室効果ガス削減にも貢献する。印刷にはフレキ印刷を採用し、マットな質感を実現した。

 ショッピングバッグは基本的に無料で提供するが、博多大丸では従来通り有料での提供となる。今後の有料化については検討中としている。

 宗森社長は「生まれ変わった新包材のデザインを通じて、品物に託して真心を送る文化を変わらず守り続け、お客様と共に新しい価値を創造していく」と今後の展望を語った。

宗森氏と各社社員

 新しい包材は30日から一部の売場で配布を開始し、全店舗で順次切り替えを進める。大丸11店舗(心斎橋店、梅田店、東京店、京都店、神戸店、札幌店、須磨店、芦屋店、下関店、福岡天神店、高知大丸)と松坂屋4店舗(名古屋店、上野店、静岡店、高槻店)で展開。ショッピングバッグはそれぞれS・M・L3種類を用意する。

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